『40歳の壁』を書け上がる!~30代フリー書籍編集者小田の戦術ノート~

ライターの多くがぶつかる『40歳の壁』。ライターから書籍編集者へとシフトしながら壁を駆け(書け)上がる30代の生き様を綴ります。

『カフェモカ1杯』で4000円の原稿を書く日々では儲からない

先日、大阪のとあるスタバでこんな会話を聞きました。


男A:オレはここで毎日コーヒーを飲みながら、原稿書いてるよ。
男B:コーヒー1杯で原稿を書き上げるまで粘るなら儲かるやん?
男A:そうやねん。4000円の原稿を、このカフェモカ1杯で書くからトクやわ。

いろいろ言いたい事がありますが、本題のみ。
道義上の問題を抜きにすれば、
コーヒー1杯で『10杯分相当の原稿』を書くというだけなら、得だと思います。
でも、男Aが日々くり返すこのワークスタイルは
かなり高い確率で『儲からない』。
私も以前は同じスタイルで仕事をしていましたから、経験に基づき明言します。

なぜか。その理由を3つ挙げました。

  1. カフェという「場所」の問題
  2. コーヒーを飲む「客」という立場
  3. カフェ内では「できない行為」の存在

先に注記すると、これはカフェを「毎日利用する」ケースです。
たまにカフェで仕事をする方は除外します。
私もスタバのコーヒー大好きですし。
それでは、順次見ていきましょう。

1,カフェという「場所」の問題

立地によって様々ありますが、
カフェモカが1杯400円のカフェには、割と多くのお客がいますよね。
それぞれのお客は雑談をしたり、ひとり読書にふけったり、
男Aのように仕事をしたりしています。
こちらの空間は本来「コーヒーを飲みながら時間を過ごす」目的がありますから、
原稿を書くという行為だけで見るならば、
書くことに集中することを妨げる要素がたくさんあります。

想像できると思いますが、一応挙げると
周囲の会話、PC作業するには少し狭いスペース、
盗難防止のための手荷物管理など。
そんな環境も慣れれば大したことはありませんが、
多くの人は原稿のクオリティや書く速度が、
カフェと他の場所では違いがあるはず。
とくに時間に関してはシビアに見ておく必要があります。
最低賃金を下回るような原稿の書き方だけは、断じて避けるべきでしょう。


2,コーヒーを飲む「客」という立場

カフェにおいては、たとえライターとして仕事をしていても
コーヒーを飲む客ということに変わりありません。
だからこそ、カフェを使う前にコーヒーを注文するんですよね。

このコーヒー代も積もれば高くなりますよね。
感覚的にですが、4,000円くらいの原稿だと2時間ほどでしょうか。
これだと、small1杯だけだとつらいかも知れませんね。
計算上、月の実働を25日として、
うち10日だけおかわりをしたと考えると、
400円×15日+800円×10日=14,000円。
でも、これだけですか?
コバラが空いた時のフードは?
カフェ→昼ごはん→カフェなんてルートを辿ると、
きっと月々に2万円近くかかっているはずです。

もうひとつ困るのが眠気
カフェモカを出すカフェって居心地がいいから、
ものすごく眠気が来ます。
ウトウト。でも、あなたはお客ですから爆睡してはいけません。
そうして目をこすりながら原稿を書いて、またウトウトして。
非効率この上なしって感じですよね。


3,カフェ内では「できない行為」の存在

自宅やどこかのオフィスと最も違うのは、この点です。
カフェはあくまでオープンスペースですから

  • 携帯電話で話をする
  • 荷物をおいてトイレに行く
  • ちょっと気分転換に外出する
  • 個人情報を含むような資料をザッと広げる

なんて行為は、いずれもできません。

とくに携帯電話とトイレの問題は大変で、
荷物を座席に放置して、盗られても文句は言えませんし
荷物を持って移動し、戻ってきたら席が取られていた
なんてことも多々あります。

そうなると次なるカフェを探すしかなく、しばらくは流浪の身となります。
こうして時間は刻々と過ぎ、原稿は遅々として進まない。
これでは儲かりませんね。

以上の事はすべて個人差や運の問題もありますし、
なんら説得させる決定的な要素ではないかも知れません。
しかし、これらすべては私の体験に基づくものであり、
多くの人もまた、体験する可能性があることだと思います。
だからオススメしないことを明言するんです。

どんな仕事も、ゴール地点の結果が大切。
しかしその結果を生み出すには、
ゴールに着くまでの道のりとアクションが重要となる。
そのアクションとは外見や自分が楽をするためのものではなく、
結果を生み出すための努力や行動であると
私は思っています。

-残り7年と282日-