『40歳の壁』を書け上がる!~30代フリー書籍編集者小田の戦術ノート~

ライターの多くがぶつかる『40歳の壁』。ライターから書籍編集者へとシフトしながら壁を駆け(書け)上がる30代の生き様を綴ります。

ライターの『準専門』ってナニ?

昨日のブログで、最後にチョコッと触れましたが、
私は、「専門的な内容を1つ持っているライター」よりも
「ある程度の知識を備えている分野(=準専門)をいくつか持つライター」の方が
職業ライターとして、より安定して生きていけるというのが持論です。
フリーランスになる前は、先で言えば前者の考えでした。
しかし、実際フリーで生きてきた経験から、後者の考えに変わったのです。
これについて、少し綴っておきたいと思います。

 

先に書いた
「ある程度の知識を備えている分野(=準専門)をいくつか持つライター」ですが、
ある程度とは、
取材では適確な質問が出来て、相手が納得できるレベルの原稿を提出できる
という水準です。

私の場合は、

  • 一般企業の経営者・社員の経歴紹介、テーマに沿ったインタビュー、コラム
  • 子ども向け学習読み物のライティング
  • 介護・福祉に関する取材およびライティング
  • 政策および選挙立候補者の広報物・ウェブページに関する記事執筆
  • 子育て、イクメン関連の取材およびライティング
  • ファミリー向け情報誌の取材およびライティング

などでしょうか。

さて、この準専門という分野ですが、
発注する側、編集さんにとっては大事な情報です。
ライターも人間ですから、「どんなテーマもこなせます!」というのは
やっぱり難しいもの。
せっかく原稿を依頼しても、あとで「やっぱり書けない」ということになることも
わずかながら発生するんですね。
それを少しでも回避できるよう、
とくに初めての発注時は、この得意分野というものを気にします。

そうなると、確率の問題になりますよね。
1つの専門性よりも、いくつかの準専門性がある方が
案件と合致する確率は当然上がります。
だから、『準専門』という視点が大切なんです。

◆準専門を増やす方法
専門性を高めるには、
日頃からの情報収集や取材を重ねる等、おのずとやり方は想像できるものですが、
ライターとして準専門を増やす方法は、少し異なります

まず、とっかかりはライターとしての日常の仕事です。
引き受けた原稿から、興味がある分野を浮かべておきましょう。

次に、その原稿を書く際に、
思いっきり深くまで情報を調べていきます。
背景となる歴史や経緯、業界だけの慣習、専門用語の意味など、
原稿ベースで構わないので、
「自分が分からない」と思った部分をすべてクリアにしましょう。
もし可能であれば、取材相手に直接聞いてもいいと思います。

さらに、チャンスがあれば同じ分野の記事を
いくつか引き受けてみます。
その際にも、先のように疑問をクリアにしていくことで、
書く度に自然と知識が増えていきます。
そして気がつけば、
その分野は他に十分誇れるレベルの「準専門」になっているはず。
取材相手、つまり当事者にはかなわなくとも、
他のライターに比べれば、十分なくらい習得した知識量に差が出ています。

こうした作業をくり返すことで、
自分の書ける分野、領域を広げることができます。
つまり、ここで習得するものは
知識というよりも「情報の調べ方」なんですね。

そして、この「情報の調べ方」こそ
ライターの技量を左右する一要素といえます。

-残り7年と271日-