私の事業目的は「リアルな現代を100年後に伝えること」
11月20日に開催する「著者発掘コンテスト」を含めて、
今後私が展開していく電子出版事業は、著者の費用負担ゼロを基本としていきます。サービスの切り売りは、あまりしたくありません。
そう話すと、採算性について、ご心配いただく声もいただきます。
しかしながら、一つ伝えたいことは、事業目的がお金ではないということ。
以前から何度か記事にしていますが、私の事業目的は「リアルな現代を100年後に伝えること」です。
◆誰もが本をつくり、出版できる社会にしたい
本をつくる出版社は、なかなか大変な環境に直面しています。
人によって様々な見方があるでしょうが、とくに編集者は、社会的使命とビジネスを両立させることに苦心しながら、どうにか出版されていると見ています。ただ現実は、本を出せる人と出せない人の間には、投じられるお金または時間の壁があり、「誰もが出版できる」状態ではありません。
それはそれで、仕方ない。
もちろんそうなんですが、私としては現代社会が不正確な状態で理解されることを危惧しています。出版する著者の層に偏りが生じれば、それら著書から読み取った社会の姿はすべて正確とはいえません。そこを完全に正確な状態とすることは無理があるものの、少しでも著者の層を広げたい。それが、「リアルな現代を100年後に伝える」第一歩になると確信しています。
たとえば、日本の江戸時代における農民のくらし。
2015年時点に多くの方が抱くイメージは、年貢を納めるために苦しい生活を強いられている姿です。
でも、最近の研究では、農民が自らのくらしをそれなりに楽しみ、生きていたという説も見かけるようになりました。
これになぞらえて、いま書店で並んでいる本を思い浮かべると、
ビジネスが活況を呈していて、成功者がたくさん存在する社会と未来には言われそうですが、
実際には貧困で苦しむ方、医療技術が発達しても治らない病と闘う方が大勢います。
さらにその状況で、心底苦しいと思う方もいれば、仲間に支えられて幸せを感じている方もいるでしょう。
それら情報を操作するのは危険ですが、たくさん情報を並べておけば、未来の研究者はそれらを調べ、よりリアルな2015年の社会を映し出せるような気がしています。
原稿さえ書けて、残すべき価値のある作品なら出版できる。
正直言ってフィルターは存在していますが、それでも私は大いなる意味と価値を見出して、いま取り組んでいます。
さらに言うと、きっと未来は原稿を書く部分でもイノベーションが起こっているでしょうから、そのフィルターはなくなっていくのかも知れません。