『40歳の壁』を書け上がる!~30代フリー書籍編集者小田の戦術ノート~

ライターの多くがぶつかる『40歳の壁』。ライターから書籍編集者へとシフトしながら壁を駆け(書け)上がる30代の生き様を綴ります。

ライターは「歴史家」にもなれる!?

先日、某社開催のセミナーに参加してきました。

この日の講師は、経営史を研究されている大学教授。
私にとって、とても印象的な内容を語られていました。
とくに印象に残ったのは、「社史の執筆者は、歴史家である」という趣旨の話。
今の私には衝撃を受けるひとことであり、
今後の自分にも影響する出会いであったので、綴っておきたいと思います。
 

 

◆「読者が未来にもいる」という事を再確認

セミナーを開催いただいた会社は、
私が普段からお仕事をさせていただいている出版社です。
社員だけでなく、執筆に携わるライターもスキルアップが必要であり、
そのとして、わざわざ声をかけてくださっています。
人生経験を積み、あらゆる側面から社会構造を知っておくべき立場ながら、
まだまだ研鑽が浅い私にとって、こうした機会は本当に貴重です。
 
さて、今回初めて経営史研究をされる方の話を聞き、
とくに次の4点を再確認し、学ばせていただきました。
・社史は、歴史家を介した過去と現在の対話
・残すべき史実の取捨選択には、未来の読者にとっての意味を考える
・史実を連ねた年表資料ではなく、未来において具体的な指針とする主観も必要である
・ゆえに情報を極限まで調べ、作り上げていくことが必要
 
もちろん私も、社史に携わるという仕事の重みを使命と捉え、
歴史を綴るにふさわしい知識の集積と価値判断のための
倫理観・哲学的な思考の訓練を日々取り組んでいます。
それでも今回話を聞き、「歴史家」という言葉のもつ重みを噛みしめました。
 

◆価値は自ら築いていくもの

 
あくまで私見であり、そもそも比較するものではないでしょうが、
職業ライターの社会的な価値観は、相対的に低めだと感じています。

それは、
誰もが書ける「日本語の文章」を扱う仕事であり、
書き手の価値というものが、
書くジャンルがもつイメージに左右されてしまうからでしょう。
 
これはネガティブな意味に捉えがちであり、私自身もそう捉えるばかりだったので、
「ライターが歴史家になれる」という今回のお話は、
非常に衝撃的でした。
 
こうした他者が見る価値に一喜一憂することはないのでしょうが、
逆にこれからは、自分が携わる仕事に誇りをもち、
気を引き締めて臨んでいこう。
 
そんな事を思いました。
 
―残り7年と94日―