『40歳の壁』を書け上がる!~30代フリー書籍編集者小田の戦術ノート~

ライターの多くがぶつかる『40歳の壁』。ライターから書籍編集者へとシフトしながら壁を駆け(書け)上がる30代の生き様を綴ります。

新事業の原点は、電子出版の「準備」

本を出版した著者にしか、見えない景色と感覚がある―私自身のことで恐縮ながら、著者としての想いを綴らせていただきます。私が出版したのは2014年8月。金風舎レーベルで、電子書籍版+小ロットの紙本で発刊しました。
 

フリーライターの本では、「売れも、役立ちもしない」

もともと自著を出版することは憧れであり、目標でした。
私は2010年1月から、フリーランスの道を歩みはじめました。それまでは会社員だったこともあり、家族や両親にとっては収入が大きな不安材料に。私もそれは察していて、「せめて自著を出版して、少しでも安心させたい」という思いがありました。また、自分としても「起業」といえるような事業を興していきたいとの想いがあり、それに役立つような本を出そうと考えていたのです。そんな矢先に金風舎さんとの出会いがあり、ブログ記事をもとにした出版企画が持ち上がりました。
 
出版企画は当初、連載ブログだった「原稿生産力を高める仕事術」の内容をもとに、ライターが仕事をする上でのノウハウを綴っていくイメージでした。机の高さがどうだとか、部屋の室温がどうだとかいう内容は、カタチから入る方には面白い情報だったからです。ただ、それだけで本としていくには無理があったので、全体的なテーマを再考することになりました。ちなみに本というのは、「○○について本にしたい」という著者の希望を受け、編集者が第三者また専門的な視点で切り口やストーリーを立案し、世に発信していきます。
 
さて、私がここで悩んだのは、出版後の自分像です。
前職の業界紙記者、そして現職のライターという生き方からして、執筆から離れたくないという強い想いがありました。
ただ、それだけでは家族を養えないという現実がある中で、さらに自身ができること、為すべきことはないかと考え始めたのです。「せっかく出版の話が出てきたのだから、何とかして次に生かせるものにしよう」とも思いました。
そしてもう一つ、企画決定までのやり取りにおいて「執筆の本は売れない」という言葉が編集者からあったのも、印象的でした。「売れも、役立ちもしないなら、切り口を変えよう」―それこそが、新事業の原点になったのです。
 
この後、企画検討→原稿執筆→企画の再検討を経て、自著「経営者・フリーランスのための Amazon Kindle執筆術: コンセプトを磨いて集客に役立てよう!」は無事発刊となりました。実は発刊直後でも、私自身の新事業は明確な状態まで行き着いていませんでした。上の写真でいえば、星を見る方角はわかっているが、どの星を見たら良いかが見えていない状態ですね。

しかし、この出版を通じて編集者と話したこと、それによって気づいたことが様々なヒントとなり、新事業へと結びついていきました。
 

◆著者発掘コンテストの実施で見えてきた事業イメージ

私が尊敬する経営者やコンサルタント、専門家の多くが「動く中で進路を見つける」「人より短期間で多くの失敗をくり返すことで、いち早く成功を見つける」というスタンスをお持ちだからです。私の性格はどちらかというと、それとは真逆。ですが、「何とか現状を動かしたい」「心から面白いと思えるビジネスがしたい」との情熱が勝っていたこと、さらに取り巻く状況が背中を押してくれたこともあり、昨秋から本格的に走りはじめました。

まもなく開催する「著者発掘コンテスト」もその一つ。これ自体は社会貢献事業としても位置づけていますが、何よりも「個人が抱える、まだ形になっていないコンテンツを磨き、発信していく」入口となるイベントです。

そしてこのコンテストに限らず、私はいろいろな形で発信、またさまざまな方とコラボレーションを実現させていくお手伝いをしようと考えています。そこにも「企画を研ぎ澄ます」「ストーリーをつくる」という編集のノウハウが生きていくとも思うのです。
 
こうした、私自身の生き方をも考えさせた「電子出版」。著者発掘コンテストで、また新たなコンテンツとの出会いがあることを心から期待しています。