地方における「電子書籍のネガティブイメージ」は真実でない
「電子書籍なんて、都市部で暮らしていてデジタルデバイスを肌身離さず持っている人しか使ってない」「都市部から離れた地方では、本=書店で買うものだから、電子出版しても仕方ない」
時期も相手も不明ですが、数年前にこんな会話を交わしたことがあります。
当時を思い返すと、おそらく私自身も「そうだよね」と納得していたように記憶しています。
「大阪で電子書籍をやっても、ビジネスにならない」とつい数カ月前まで思い込んでいたのも、きっとその延長線上に思考が着地していたからです。
先に結論を出してしまいますが、決してそうではないというのが今記事の主旨です。
◆「地方だから」という居住地域別の論理は、万能といえない
居住地域にかかわらず、同世代とその前後の経営者さんには、単なる流行ではなく、実用性に伴う形でデジタルデバイスを使いこなしている方を多く見かけます。
こうした方は、電子書籍も上手に使い分けていて、
・小説など文芸作品は紙で読み、ビジネス書は電子で読む
・最初は紙で読み、情報のみ手元に残しておきたい本は電子で保存する
・家では紙で読み、遠方への外出や出張では電子で読む
など、自分のスタイルにあわせて双方を活用しています。
こうなると、「地方だから電子書籍は読まない」という論理には矛盾があります。
むしろ外出や出張が比較的多くなる分、電子書籍のヘビーユーザーとなる可能性が高いとさえいえるでしょう。
◆「書店で本を購入する層」である本のみ、電子出版をやめればいい
上記の通り、通販ではなくわざわざ書店へ足を運ぶのですから、大半の客層は
・実物を手に取り、中身を少し見てから購入したい方
・書店およびその周辺で時間を過ごしたいと思う方
・インターネットまたはネット通販を普段遣いしない方
とある程度、客層が絞り込めるのではないでしょうか。
そうした客層にマッチする本であれば、わざわざ電子出版せずとも、紙で出版された方が賢明です。
しかしながら、マッチしないのであれば電子出版を考えるべきです。
もう一点、プロモーションから考えてみたいと思います。
単純比較が難しいのですが、地方でも書店の数は減っているので、自然と「何も考えず、本を選んで買う」という偶発的な購入機会は減ってしまいます。他方、スマホの画面を長い時間眺めることは多く、それこそ偶発的にSNSやまとめサイトなどに流れているwebページをたくさん目にしていることでしょう。そんなSNSやまとめサイトで自分の本をプロモーションするとき、URLを貼り付けることが得策。書評にしたら、その書評だけを読んで満足する方も少なくないからです。
URLを貼り付ける場合、大抵はリンク元をAmazonにすると思うのですが、Amazon上では紙と電子が同じページに並んでますから、電子書籍に慣れてしまえば、価格優位性から考えて電子を選ぶ方が多くなっていくと考えられます。話を戻しますが、このURLが流れるSNSやまとめサイトに、都市だの地方だのということは関係ありません。そうなると、ここでも電子に軍配が上がります。
実状と今後を含めた考察を書きましたが、表題に挙げた「地方における電子書籍のネガティブイメージ」は、虚構があり、全面的に真実とはいえないのです。そこも念頭においていただき、今回の「著者発掘コンテスト」が好機だと思われる方は、ぜひご応募また説明をお聞きいただければと思います。