『40歳の壁』を書け上がる!~30代フリー書籍編集者小田の戦術ノート~

ライターの多くがぶつかる『40歳の壁』。ライターから書籍編集者へとシフトしながら壁を駆け(書け)上がる30代の生き様を綴ります。

電子出版の企画は、「一本槍を突く」イメージで

開催まで残すところ3週間となり、いよいよ企画案の第1号が手元に届きました。
 
厳密に言うとこの方は、コンテスト開催が決まる前から出版の相談を受けていた方で、早ければ来春あたりに紙の商業出版を狙おうということで進行させていました。しかし、紙の商業出版は企画時点で相当な時間と労力を費やすことになるため、それに耐えられるかどうかが心配でした。そのため「まずは電子でしっかりした作品を書いてみて、次のステップとして紙の商業出版を狙いませんか」とお話したところ、快諾をいただき、今回のコンテストに参加いただく予定なのです。
 
さて、手元に届いた企画書ですが、以前に「読者を絞り込んで、メッセージを伝えるような気持ちで内容を考えてくださいね」と話をしていました。そこはキチンと守ってくださったのですが、企画自体はかなり幅が広くなっていて、正直言って「あれも、これも」という感じでした。それが違うということを説明するために、私は「一本槍を突くイメージで再考してください」とお願いすることにしました。

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◆「本=長文=テーマの幅を広げないと書けない」という誤解

私のような書籍ライターや研究者、コンサルタント、士業、シンクタンクにお勤めの方あたりを除いて、多くの方はそれほど長文を書く機会はないと思います。
 
それゆえに「紙の本のように何万字もの原稿を書くには、いろんな話を入れて、つなぎ合わせるしかない」と思う方もいることでしょう。確かに、ある程度は中身がないと書けないものですが、かといって幅の広いテーマをわざわざ選ぶというのも考えものです。
 
【160218追記】紙の本は、印刷・製本して仕上がりますが、ある程度ボリュームがないと見栄えがしません。そのため、ビジネス書などは7万5000字、200ページを一つの目安にして発刊します。
 
テーマの幅を広げてしまえば、一つ一つの情報を深掘りすることに限界を感じてしまい、収録した情報に厚薄の偏りが生じてしまうように思います。さらに、読者は「この本は何が言いたいのか」がわからず、読了後にモヤモヤするもの。それでも7万字程度の原稿用紙を埋めるためには書き進めるしかないので、まずは書いて、そして推敲するということになります。しかし、今回のコンテストは電子書籍です。つまり、それほどボリュームがなくてもOKなんですね。だから、変に気負うことなく書いていただければと思いますし、大胆にテーマを絞り込んでいただきたと思うのです。
 

◆電子は、「シンプルな流れで中身を濃縮し、結論まで書く」のがベスト

 
原稿を書く順序や手法は人によって違いがあり、どれが正解ということもありません。
ただ、電子書籍は文字数も少なく済ませることができるので、捻りを利かせたストーリー展開や、論理を転じるような内容と説明は不要です。これも先に書いたように、一本槍で結論を突くようなイメージで、直球なストーリー立てでいけばおのずと本になるはず。紙の本でよく見る「コラム」や「事例」も必ず掲載するべきいうものではないのです。そうやって企画を固めて執筆するようになると、きっと中身も濃くなるはずです。
【160218追記】第1回コンテストの審査通過者は原稿執筆中ですが、多くは1~2万字程度です。少し長めのブログ記事が0.5章分程度という感覚です。
 
末筆ながら、もう一つ。出版は「一生に一回限り巡ってきたチャンス」として本を書いていく方が多いのですが、電子出版はそんな重々しさなどありません。「Oneテーマ、Oneブック」で、テーマ毎に出版することもできるのです。今回の「著者発掘コンテスト」も上手にご活用いただいて、どんどんコンテンツを生み出し、発信していただければと思っています。