『40歳の壁』を書け上がる!~30代フリー書籍編集者小田の戦術ノート~

ライターの多くがぶつかる『40歳の壁』。ライターから書籍編集者へとシフトしながら壁を駆け(書け)上がる30代の生き様を綴ります。

Amazonで「テスト出版」してみる、という考え方。

先月のこと。
私はある電子書籍データの制作会社さんを訪ねました。
 
担当さんとは初対面でしたが、とっても気さくで明るい方で、さらに電子書籍まわりの話題もよく知っていたので非常に盛り上がりました。そんな会話の中で「なるほど!」と思ったのが、「電子書籍でテスト出版する」という発想でした。
 
私も含め、出版業界にいる人間ではおそらくない発想(ではないですか?)。これは、いろんな人に伝えなきゃと思った次第です。
 

 

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◆「出版=高額商品」と一様に言えない時代に

 
私はいつも出版社から編集や執筆の業務を請け負っているので、出版は「高額商品」というイメージがもはや常識となっています。
たまに耳に入ってくる契約金額は、間違いなく自身がポンと出せる金額ではないですし、金銭感覚にシビアな著者さんはかなり集中してビジネスに活用されています。その意気込みたるや「出版は一世一代の大勝負」といっても過言ではないでしょう。
 
しかし同じ「出版」ながら、電子書籍であればずいぶん低価格に抑えられます。会社ごとに価格差が大きいのですが、会社にお勤めの方の1~2カ月分の月給があれば出版は可能で、紙と同じくAmazon上で自分の本を並べられる時代になりました。この価格はさらに抑えることができ、データ制作、著者設定などすべてを自分でやることができれば、費用はほぼゼロで出版できるのです。もちろん紙印刷の本とは異なるものですが、少なくとも「出版=高額商品」とは一様に言えない時代になったといえます。
 

◆中身に自信があるなら、「出版して反響を測定」するのも一つの手

 
本づくりには、本の内容やストーリー、著者に関する情報をまとめた「出版企画書」が不可欠です。とくに商業出版は、企画書の内容や仕上がり具合で採用の有無が決まることが多いため、ここをクローズアップしたビジネスも多数存在します(私もその一人です)。
 
ただ、伝えたい内容がとてもクリアで、伝えたい内容をギュッとしぼり混んだ原稿を自分で本にするなら、企画書がなくてもいいと私は思っています。電子書籍で個人出版するときなんかは、これにあてはまります。立派な企画書をつくるために費用と時間を費やすのなら、もしかしたら表題の通り「実際に本で出してみて、売れるかどうか測定する」というテスト出版はアリだと思いました。
 
加えて、テスト出版した本は版権も個人ですから、どこか良い出版社が見つかれば、ササッと書き直して出版することもできると思います。冒頭お話した会社さんでも、このルートで通常の紙本で出版したそうです。
 
もうまもなくですが、出版経験もあり、伝えたい内容が最初から明確だった著者さんが、KDPで
本を出版されます。短期間で集中して書かれているので、伝えたい内容も明瞭かつストレートなものになっています。「いますぐ伝えたい!」と即時性を求める方に、私としては「こんなやり方ありますよ~」と今後もお伝えしていきたいと思います。