『40歳の壁』を書け上がる!~30代フリー書籍編集者小田の戦術ノート~

ライターの多くがぶつかる『40歳の壁』。ライターから書籍編集者へとシフトしながら壁を駆け(書け)上がる30代の生き様を綴ります。

「有権者のことを考えて・・・」の本気度がわかる選挙ビラの見どころ3つ

私はライターという仕事がら、いろいろな政党また候補者のビラづくりに関わった経験があります。
 
直近では、統一地方選挙がありますよね。都道府県・政令市は4月12日、ほかの市町村は26日が投票日となっています。細かい日程まで知らないとしても、候補者(正確には予定候補者)の動きを見て、察しの良い人は「選挙があるんだ」と気づいていることでしょう。
 
ちょうどこの時期には、さまざまな政党、予定候補者のビラが届けられます。
 
よほど政治に関心がなければ、読まずに捨ててしまうこともあるでしょう。でも、こうしたものでも、表題の通り「有権者へ配慮する姿勢」を見ることができます。
 
作り手だからわかる、見るべきポイントを3つご紹介します。私感ですから正解とは言い切れませんが、比較する一つの材料にはなります。
 

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◆ポイント1:文字の大きさ&ボリューム

よく言われることですが、選挙への関心が高くて実際に投票するのは60代以降の方々です。ここでは示しませんが、統計でもこの通りです。
 
そんなことは投票してもらう側もわかっているはずですから、「文字は大きく、読みやすいボリュームにする」ことが基本中のキホン。でも、実際に届くビラを見ると
  ・ビッシリと文章が綴られていて、(30代の私でも)読むのがつらい
  ・デザインを重視し、文字サイズが小さい
ということも、実はめずらしくありません。
 
「熱い想いで、あふれる位に文章を綴った」とか「一般紙のサイズ程度にはしてある」とか言い訳はできそうですが、自身の気持ちを相手に伝えられなければ公約なんて実現できないのではないかと。
 
付言すると、高齢者は色についても配慮するべきです。カラーユニバーサルデザインってやつですね。色合いまで気が回らないにしても、せめてフォントを変えるとか、アンダーラインを入れるとか、方法はいくらでもあるはずです。
 

◆ポイント2:「住民といっしょ」の写真がない

無関係と思う方もいると思いますが、持論を。掲載する写真一つにも、伝わるというか見えてくるものがあります。
 
ビラであれば、候補者の顔写真、政党に属しているならその代表や幹部との握手写真、芸能人や専門家とのツーショットや語らいのカットを掲載しているケースもよく見受けられます。私としては、これ以外に掲載している写真について、「掲載した意図」や「撮影した状況」を想像し、いろいろ考えを広げてしまうのがクセです。
 
例えば、住民の方といっしょに正面を向いてのツーショット写真。一つ二つなら良いとして、そればかりであったなら「あっ、みんなお願いして撮ってもらったのかな」と思ってしまいます。これが語らいのシーンなら、撮影には協力者やスタッフが不可欠。それができないということは、どうなのかなと。新人でも、地域に友達くらいいるでしょうし。それよりさらに問題なのは、自分の写真ばかりを載せているビラ。思わず「これまで地域を回っていたのかな」と想像してしまいます。
 
あと、失礼ながら笑ってしまったのは、たぶんスマホか何かで自撮りした写真です。暗い場所なのか、顔も不鮮明に写っていて、読み手は明らかにマイナスな印象を持ちました。せめて、議会で答弁する写真とか、駅で立っている写真とか、まともなものがなかったのでしょうか。とっさに出てこないといっても、日常的に管理ができていれば対応できる訳で、結局はそういった協力者がいないのかも知れません。
 
一ついえることは、多額でないとしても「有権者に見ていただく」という視点で、読み手の有権者がイメージしやすい写真やイラスト、図を入れるというのが配慮というもの。本気で有権者のことを考えているのなら、細部まで制作業者と相談し、手を入れるべきです。これをせず、おそらく任せっきりになっていると思われるビラを、私はこれまでたくさん見てきました。
 

◆ポイント3:めざすポジションと公約がマッチしていない

私個人としては、何か特定の分野で高い専門性を有する政治家って、国も地方も必要だと思っています。実際に法律を考えたり、計画を立てて動かしたりする自治体職員はエキスパートがたくさんいるので、そこを説得していくには対等かそれ以上の専門性が必要です。熱意だけでは難しい・・・
 
それとも多少は関係する話題ですが、とくに新人候補の公約で、「?」と思ってしまう内容をたまに見かけます。その多くは、「めざすポジション」と公約の相違です。
 
極端な例でいえば、ある区の区議会議員選挙に出ようというときに、その区に直接関わる公約ではなく、国の制度や法律について、また何十年もかけて実現させていくような公約を掲げるというもの。それはそれで大事なことかも知れませんが、それなら立候補を再考するべきでしょう。
 
候補者は、当選すると議会の議員や首長というポジションに4年間だけ就きます。そしてその間、住民のために働くのです。なのに、現在また未来の住民にとっての恩恵がないというのは問題であるし、税金のムダ遣いといえます。
 
また、いくら立派な公約であっても、実現するための方策が(少なくとも自身の頭の中で)描けていなければ、これは問題ありです。本来ならば、この部分もビラに明記するべきかと。
 
実情はそううまくいかないのかも知れませんが、国は国会議員、その地方はその地方議会の議員という形で「役割分担」して国民のために働くものです。地方議員なら、その地域の実情を知るために動き、公約を掲げ、実現させていくのが仕事。そこがイマイチわかっていないということも、ビラから見えてくることがあります。
 
 
冒頭の通り、こらら3つはあくまで私感に基づくものです。が、一有権者の意見でもあります。
 
表題の「有権者のことを考えて」ということと、伝え方の得手不得手ということは直結しないことがあるかも知れません。しかし仕事上は、相手があってのものですから、ビラ一枚にしてもしっかり考えて心を尽くすべきでしょう。個人商店や自営業の方の多くも、悩みながらこうした宣伝ツールをつくっている訳ですし。
 
ビラという1つのツール。ちょっとした部分かも知れませんがご参考まで。
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