『40歳の壁』を書け上がる!~30代フリー書籍編集者小田の戦術ノート~

ライターの多くがぶつかる『40歳の壁』。ライターから書籍編集者へとシフトしながら壁を駆け(書け)上がる30代の生き様を綴ります。

「書く」つながりと祖母への供養

少し前のことになるが、生前の祖母を紹介した記事を新聞に載せていただいた。
 
祖母や母の友人、知人など思わぬ方から反響もあった。
一様に喜び、懐かしむ気持ちが伝わる電話口の声に、私は「少しくらい“ばあちゃん孝行”ができたかな」と安心感を覚えた。私自身はまだまだだが、祖母は(大阪弁での意味を込め)えらかったんだと思う。
 
記事には書ききれなかったが、祖母は最期まで病床でペンを握っていたそうだ。
長年リウマチを患っていた為、ペンを握るのも大変だとよく口にしていた。それでも、「他人に文章を書いてもらうなんて恥ずかしい」と、きちんと漢字も使いながら綴っていた。
だが、私も母もそれを知ったのは逝去してからだった。病床から出てきた手帳には、練習のために書いた字でほとんどのページが埋め尽くされていた。そこで初めて私たちは気づいた訳だ。
 
 
ちょうど今年が祖母の7回忌だったのだが、逝去からほどなくして私は病気を患い、さらには会社を辞めることとなった。歯を食いしばり、再起をかけてフリーランスの活動を開始。安逸な一日を迎えるには数年を要した。正直言って、祖母のことなど忘れていた。
 
それが今回、思わぬ形で記事投稿の依頼があったことから、母とじっくり話をした。久々に華を咲かせた祖母の思い出話。目に涙を溜めて、笑ったり切なくなったりする母を見て、「良い機会をいただいたな」とつくづく思えた。そして、最期を迎えた時の話となり、先の「文章を書く」話が蘇ったのだ。
 
私は父・母とも血縁関係に物書きはいない。店を構えている自営業は多い気がするが。そうした中で、祖母と私が「書く」という行為でつながれたことに、いろいろな感情が去来する。
 

 

 
フリーランスから4年が経ち、仕事また経営という視点で到達したい目標はあるが、対してモチベーションを維持するための目標、つまり志や生き方に関する部分については、充足してきた感がある。それ自体は良いことであるのだが、さらにモチベーションとなる新しいものを探していただけに、祖母の話は大きな成果があった。
 
尊敬する人生の先輩であり、時を超えて自身を受け止めてくれる存在の祖母。ひとことで片付けるには惜しいが、仕事をやり遂げた時には祖母の笑顔を思い出して、「ばあちゃん、がんばったで」と言うことを一つの楽しみにしたい。
 
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