『40歳の壁』を書け上がる!~30代フリー書籍編集者小田の戦術ノート~

ライターの多くがぶつかる『40歳の壁』。ライターから書籍編集者へとシフトしながら壁を駆け(書け)上がる30代の生き様を綴ります。

『専門ライター』、仕事が多そうな分野とは?

私は企業サイトやPRツールなど一般的な情報発信に関するライティング、
社史やビジネス書といった長文の原稿、
資源物や産業廃棄物といった環境分野、ラベルやパッケージといった包装分野が得意ジャンルです。
 
こうした専門性は、職業ライターとして生きていく上で武器となります。
どんなに名文であっても、情報の量や正確さが担保できなければならないからです。
 
ただ、だからといって複数の専門分野を得意とするには限界があります。
今回は、自分自身は書けないけれど・・・でも、仕事が多そうな分野をいくつか挙げてみました。

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◆医薬・メディカル系:高齢化の日本には必要な人材

 
ずいぶん前から言われていますが、日本は高齢化社会を迎えています。
ビジネスにおいても高齢者向けの分野が成長していますから、
それら分野で情報発信される機会も多く、当然ながら書き手も必要な人材となります。
 
高齢者向けのビジネスはいくつかありますが、
専門性という点では、医薬・メディカル系のライターさんは希少です。
ちょっとした文章であっても、専門的な知識、また薬事法なども知っておく必要があり、
誰もが書けるような分野ではありません。
 
これに類する分野としては、コスメやサプリメント、介護サービス等についても
専門ライターは希少な存在だと思います。
 
 

◆政治系:党派の違いまで表現できるライターは希少

 
ネット選挙が重要視されるようになり、
とくに国政選挙が近くなると政治や選挙に関する記事を依頼されることが、私自身も増えてきました。
 
政治系の記事は、党派や考え方の違いをよく理解しておく必要があります。
また、文頭や文末、同じ意味合いでも表現を使い分ける等、
独特のテイストにあわせるという力量が求められます。
 
私も同業の方とよくお話しますが、複数の党派から仕事を受ける方は希有だと認識しています。
それは、それぞれの党派が掲げる政策が非常に似ており、書き分けが困難だからです。
福祉や年金、経済などの政策を「うちの党はこう考えます」というものの、
大枠はほぼ同じ主張ということも少なくありません。
 
逆に言えば、党派の違いまで表現できる専門ライターは希少であり、
その能力を備えることができれば、かなり仕事は多くなることでしょう。
 
 

◆地方史、業界史:若年層なら一定の需要あり

 
近年は歴女ブームもありましたが、日本史や世界史が好きで精通している方は、
自身の人脈から探しても、それなりに見つけることができるレベルです。
 
しかしながら、一地方の歴史となると
自治体の担当者や郷土史の研究者、地方の名士などを除いて
語れるほどの知識を持ち合わせていないでしょう。
 
これは業界史でも同じで、たとえその業界で中心的な存在の企業に勤務していても
社史編纂や広報の担当者でない限り、その歴史を学ぶ機会はほとんどありません。
 
あくまで私の体感ではありますが、こうした歴史を知っている方は比較的高齢であり、
今後後世へ語り継がれる機会があるかどうかも定かではありません。
 
ただ、いつの時代であっても歴史の記録は必要ですから、
若年層であれば、どこかのタイミングで仕事が発生することが予測できます。

一方で、知っているだけで仕事が発生する訳ではありませんが、
人脈の確保やネットによる情報発信をすることで、きっかけがつかめるかも知れません。
 
 

◆理系分野:エネルギー、生物、土木・・・ニッチでも仕事は存在


そもそも、あらゆる事象を理系と文系に分けることに無理がありますが、
物理や化学といったいわゆる理系分野の記事が書けるライターは不足気味です。
 
私自身も経済学部出身なのですが、
もともと理系分野が好きということで、勉強しつつ
小学生向けの学習教材などの編集協力もやっています。
 
研究者や教員・講師といった仕事の方が、兼業でライティングをするケースもありますが
それでも数は少ないようですね。
 
将来的に必要となる分野を考えてみると、
エネルギーや生物といった、環境に関する分野の書き手は必要になることが想像できます。
 
また、近い将来であれば、
防災・減災、また建造物の老朽化等の問題がありますから、
土木関係の分野も、仕事の増加が見込まれます。
 
一般論として、ニッチな分野の記事はそう仕事も多くないと思いがちですが、
書き手はもっと少ないので、ある程度の需要があると考えられます。
 
ライターとクライアントが効率良くマッチングできる道筋は思いつきませんが、
まずは特定の分野でアンテナを広げ、実績を積んでいくことが近道なのではないか
と考えている次第です。
 
ほかにも多数のジャンルがあると思います。
個人差があるものの、得意ジャンルというものはせいぜい3~4つくらいだと思うので
よく考えて情報発信していくことが大切です。
 
―残り6年と184日―