『40歳の壁』を書け上がる!~30代フリー書籍編集者小田の戦術ノート~

ライターの多くがぶつかる『40歳の壁』。ライターから書籍編集者へとシフトしながら壁を駆け(書け)上がる30代の生き様を綴ります。

言い切り文の大切さ

A:「コーヒーは健康に良いから、私は毎日飲む」
B:「コーヒーは健康に良いと聞く。だから私は毎日飲む」

私は業界紙記者を経て物書きになったためか、
Aのような書き方は「断定的だな」と思うので、避けています。
 
なので、多くの場合はBのような書き方にするわけですが、

あえてAのような書き方をするべき場合があるという事に、いまさら気づきました。

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◆なぜ断定を避けるのか

 
コーヒーが健康に良いという話は、よく聞きます。
しかし、ネットニュースなどでは、コーヒーについて
「健康に良い」「健康に良くない」という正反対の情報が、
定期的に話題
となります。
 
これは、どちらがどうだという確定的な研究には至っていないという証でしょう。
 
さらに、健康という評価、体質なども個人差が大きく、
一概に「健康に良い」と結論づけるのは乱暴というもの。
だから、「健康に良いと聞く」という形で、どこかから聞いた的な逃げをします。
しかし、こうした逃げを多用すると、文章自体の信頼性が危うくなりますから、
ピンポイントで使うというのが、テクニックなんですね。
 

◆断定がふさわしい場合がある

 
私が今回、「断定的に書いた方がいいかな」と思ったのは、
数年前にヒットしたこの本でした。

 

かばんはハンカチの上に置きなさい―トップ営業がやっている小さなルール

かばんはハンカチの上に置きなさい―トップ営業がやっている小さなルール

 
ちょうど同じような関係の原稿を書いているのですが、
じっくり読んでみると、断定的な書き方をいくつか見つけることができました。
 
最初は「よく言い切れるな、すごい」と感心しつつ読んでいた訳ですが、
よくよく考えてみると、これらは著者が確信をもっている部分であり、
体験に基づいて得た事実なんですね。
だから、ごく自然な形で言い切りができるんです。
冒頭Aの文章も、コーヒーで健康になったという体験が前後に併記できるなら、
説得力のある一文へと変化させることができます。
 
こうした言い切り、断定的な文章は、
ノウハウ本ではごく一般的なのですが、個人的には
原稿自体が安っぽいイメージになりそうで、なんとなく嫌悪感もありました。
が、この本を読んで、
・裏打ちされた経験・プロセスの部分をしっかり明記する。
・個人の所感に近い状態、ごく自然な形で書いていく。
ことで、著者の説得力信頼性をより高めることにつながっていくと思いました。
 
とにかくも、ここで気づけて良かった。また新しい手法を体得できました。
 
-残り6年と305日-