『40歳の壁』を書け上がる!~30代フリー書籍編集者小田の戦術ノート~

ライターの多くがぶつかる『40歳の壁』。ライターから書籍編集者へとシフトしながら壁を駆け(書け)上がる30代の生き様を綴ります。

ライターが原稿を『時給』で書いてはいけない理由

先週のこと。
立ち寄った丸亀のラーメン店で、店主がこんな事をつぶやきました。
麺やスープにこだわるって言っても、一杯が150円や200円のうどんでは無理だね。
そして、うどん屋からラーメン屋へ転身されたそう。
店主のひとことは、私の心にズシンと響くものがありました。

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(画像:足成)
 

◆ライターは24時間365日が仕事時間。

 
ライターの仕事は、「原稿」という成果物に対して報酬が支払われます。
文字数文章自体のクオリティ書き上げる日数予算からの按分など、
得られる報酬の算出方法はさまざまですが、
「原稿1本を書く必要時間」というものが目安の一つにはなります。
 
私は記者からライターへ転身してすぐの頃、こんな考え方を持っていました。
原稿も時給で計算して報酬を提示しよう
 
ライターは大抵、クライアントの言い値から交渉するものですが、
たまにこちらから金額を提示する事があります。
今となっては、様々な原稿の相場感を掴んでいますから
そこから調整して見積を出すのですが、
フリーランス駆け出しの頃はそれが分からず、安易に時給で計算しようと考えたんです。
 
もちろん、原稿を書く為の必要時間として、
資料を調べたり、情報を分析したり、参考文献を読みあさったりする時間も
できる限り想定して、金額を提示していました。
 
でも、この方法ではダメなんですね。
ライターは24時間365日を切り売りして原稿を書く仕事であり、
書く腕を上げるために努力する時間も、得た報酬でカバーしなければ
到底、家族まで養っていくのは無理なんです。
 
それがわからなくて・・・
ランチ2回分くらいの単価で企業のニュースレターを書く
・毎週1回発行のメルマガなのに、その日1日の時間を拘束されて他の仕事ができない
などなど、本当に笑えない思い出が、私の身にはたくさん起こりました。
 
 

◆必要な収入から日割りする考え方へ

 
冒頭のような飲食店とライターでは、収支の構造がまったく異なりますが、
飲食店であれば、
売上から経費(材料費、営業にかかる経費・人件費)を差し引いて黒字にした上で、
麺やスープの味を追究できるだけの時間/費用の余裕がなければ
商売を長く続けていくことはできません。
ライターであれば、
書く腕を上げるために本を読んだり、体験をしたり、人と話をしたりする
時間/費用の余裕がなければ、
安定して仕事を続けていくことなど難しいでしょう。
 
収入の問題は難しいものがあり、私もまだ理想論の段階ではありますが、
とくに最近、意識をしているのは月トータルに必要な生活費とのバランスです。
簡単に言えば
月にいくら必要だから、その分の仕事を確保する
・少なくとも1週間、1日でいくら稼ぐかを設定する
という視点を持って、仕事量を調整しています。
 
目前の仕事をこなすスタイルから脱却し、計画的に仕事をするには
相当の労力と時間が必要ですが、
時間をかけてでも、少しずつ前進させていくことが
将来の強固な基盤につながっていくと、今の私は考えています。
 
―残り6年と363日―