『40歳の壁』を書け上がる!~30代フリー書籍編集者小田の戦術ノート~

ライターの多くがぶつかる『40歳の壁』。ライターから書籍編集者へとシフトしながら壁を駆け(書け)上がる30代の生き様を綴ります。

『インタビュー原稿』と『音声起こし原稿』は違う?

『インタビュー原稿』と『音声起こし原稿』は違う。
これを聞いて、「えっ、当たり前でしょ」という方にも知って欲しいのですが、
実は結構、「?」「何か違うの?」という方が多いんです。
 
違いがわかる方にも、わからない方にも伝えたいお話です。

 

 

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◆取材時のあるある話。

 
年に数回ほどある話ですが、
インタビュー取材が終わった後でこんな事を言われます。
「ねえ、原稿書くついでに、(ICレコーダーで録音した)音声の起こし原稿もちょうだいよ」
取材相手やクライアントの担当者、広告代理店の営業さんなど
言われる方はさまざまですが、みなさんとっても軽いノリで言われます。
 
私も書いてナンボな商売ですから、
「じゃあ、別途見積りしますね~」なんて返すと、
サービスするのが当たり前でしょ的な顔をされてしまうんですね。
 
さて、なぜこんな事が起こるのか。
理由はタイトルに掲げたように、
・インタビュー原稿と音声起こしの原稿が同一
・取材→音声起こし原稿→インタビュー原稿という順序で書く
と思われているからです。
一度、不思議に思って何人か聞いてみたら、このような答えが返ってきました。
 
ライターや記者、著述業には常識であっても、
実は世間では、そんな常識など知られていない。これもその一例です。
 
 

◆インタビュー原稿執筆の裏側

 
私もそうでしたが、記者は通常取材でICレコーダーを使いません
長時間のインタビューや対談、著名人に張り付いての取材では、
念のためICレコーダーセットしますが、
基本的には取材時にとったメモをもとに、記事を書くんです。
 
なので、音声起こしなんて必要がなければやりませんし、
ヘタをすれば音声を聞くことさえない場合もあります。
 
だから、音声起こしは別途見積りになる訳です。
 
インタビュー取材では、あらかじめ相手に主旨や目的、流れを説明し、
話も展開させたい順序で聞いていきますが、
人間ですから、どうしても話が脱線したり、本意でない方向で話が盛り上がったりします。
 
いくら事前に説明をしたとしても、
話を聞いて、答えていただいた通りに書けるというのは、
私が記憶している限りでも、1~2件くらいだと思います。(ちなみに私のキャリアは10年です)
 
つまり、インタビュー原稿は
実際に話を聞くが、流れや構成は頭の中で作り上げる
というものなんですね。
 
そこまで相手に伝える必要はないでしょうが、
自分が思う常識は、相手にとって常識でない
ということを、常に認識しておくことが大切です。
 
―残り7年と4日―