『40歳の壁』を書け上がる!~30代フリー書籍編集者小田の戦術ノート~

ライターの多くがぶつかる『40歳の壁』。ライターから書籍編集者へとシフトしながら壁を駆け(書け)上がる30代の生き様を綴ります。

『非公開日記』からはじめる自分史の原稿

「日記」って、公開するものですか?それとも、非公開ですか?

非常に興味深い変化ですが、
一昔前までの「日記」といえば、
誰にも知られたくないプライベートな事を含め、日記帳やノートに綴るもの。
よほど仲の良い友だちと「交換」しない限り、非公開が常識でした。
 
でも、現代はどうか。
ソーシャルメディア全盛期の現代では、
日常生活の何気ない出来事をネット上に投稿する事がごく一般的になっていますから、
公開する事を前提に、友達や読者の興味をひくような書き方をすることさえあります。

ブログについても、日本でブームに火が付いた2000年代前半と比べても、
誰かにとって有益な情報を発信するブログが増えましたよね。
もちろん、これらも公開するのが常識です。

そんな日記ですが、私は「非公開」で綴る方の日記を、
「ご自身で自分史の原稿を書く!」という方へアドバイスする際、
説明のために、思い出していただいています。

自分史の原稿は、『非公開日記』を綴るように書けばいいんです。

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(画像:PAKUTASO)
 

◆最優先すべきは「真実を綴る」こと

日常生活を送る中で、私たちは綴った文章をもとにしたメディアと接しています。

そのうち、ブログ、SNS上の投稿やコメント、小説、雑誌などは
「読み手が『面白い』、『興味がある!』と思うこと」が最優先されるべきであり、
そのためにキャッチーな見出しをつけたり、
本文冒頭にグッと引き込ませるような技巧を凝らしたりと、
実にさまざまな工夫をします。

他方、自分史や企業の社史、調査書、新聞報道などは
前者のような工夫を大事にしつつも、
「真実を綴る」ことが最優先されるべきだと考えます。
自分史については、
細部までの記憶、時々に変化する感情を新鮮なうちに記録し、
できる限り、真実に近い内容の文章を
なによりもまず、書き綴ることが大事だと考えます。

人間は一度に複数の作業を進めたり、思考することは難しいですから、
私は「真実を綴ることが最優先される場合、これに集中する」ことを勧めます。
表現や見出し、構成を考えたり、情報の公開/非公開を判断するという作業は、
文章を綴ってから、じっくりやった方がいいと思うんですね。
 
その作業こそ、何でも書いていたあの頃を思い出して欲しい。
そんな気持ちで、『非公開日記』について話すのです。
 
とくに最近の私たちは、公開を前提にした文章を書き慣れています。
そして、知らず知らずのうちに、思いっきり書けないようになっています。
自分の歴史を書く以上は、どこまでも正直に、感情のままに、
まず筆を走らせていくという事が、よりリアルな原稿を生み出すことになります。
 
 

◆難しい『非公開情報』の取り扱い

 

「誰と誰が好き」とか、「実は妻に内緒のこんな話が・・・」みたいな事なら、
どこかに情報が漏れても、最悪誰かに叱られる程度で済みます。

が、例えば自分史でビジネス・仕事に関する話を書くときに、
会社の業績がどうだとか、誰々のバックにこんな人脈があるとか、裏でこんな取引が・・・
みたいな話ともなれば、情報漏洩は許されません
 
しかし、多くの方が使うPCといえば、
ネットには常時接続し、データはdropboxやEvernoteで保存し、
メールのやりとりにはGmailを使っています。

それぞれはセキュリティも堅牢でしょうが、人が作ったものですから、
確率は極めて低いが、漏れることもある。
と認識しておくべきでしょう。
 
だからといって、何十万字にもなる本の原稿を手書きで仕上げるのは、あまりに非効率過ぎます。
ややアナログ感がありますが、
  • PCからネットを遮断
  • 保存はUSBメモリやSDカードなどで
  • バックアップは紙出力で
くらいで作業をするしか手立てがなさそうです。
 
これらも面倒ではありますが、
何よりも書き手は、「真実を思いっきり書く」ということに注力しないといけない。
一昔前を思い出して、あなたも思いっきり原稿を書いてみてはいかがでしょうか。
 
-残り7年と35日-