『40歳の壁』を書け上がる!~30代フリー書籍編集者小田の戦術ノート~

ライターの多くがぶつかる『40歳の壁』。ライターから書籍編集者へとシフトしながら壁を駆け(書け)上がる30代の生き様を綴ります。

『これ、本にしたい!』と思った直後に、まずやること

時に人は、「これ、本にしたい!」と思うような感情が沸き起こるものです。
それは希少な体験だったり、苦しい状況を乗り越えたプロセスだったり、
誰もが認めるような成功・勝利を収めた出来事だったり・・・
総じて「自分以外の誰かに伝えたい」との想いが強まってのものでしょう。
 
こうした感情は、新鮮なうちに原稿化するのがベストではありますが、
その前に1つだけ、やっておいた方が良い作業があります。
これも、私がこれまで書いてきた経験から学んだ事の一つです。

 

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(画像:PAKUTASO)

 

◆勢いで書く原稿はほぼ100%、途中で挫折します。

「こみ上げる感情を抑えながら、原稿を書く」ということは、
書く仕事をしている私でも、しょっちゅうあります。
書きながら感慨にふけったり、時には涙を流しながらキーボードを叩く。
こうして書いた原稿は、
文法や言い回し、表現の技巧などはボロボロであり、見直しは必須ですが、
躍動感真実に近い感情の変化が、読み手にも伝わるような文章となっています。
理想だけでいえば、
こうした文章を綴って原稿を書き上げ、あとで推敲していけば
読み手の心を打つ、良い作品に仕上がるのかも知れません。
 
でも、本にまとめるだけの原稿量となれば、だいたい10万字前後ですし、
私の場合でも、取材を含め2カ月以上の時間が必要になります。
どんなに精神力や体力がある方でも、
この期間、ずっと勢いや感情を維持することは不可能ですから、
最初は勢いよく原稿を書いていたとしても、いつか必ず筆をおく日が訪れるもの。
原稿も、他のプロジェクトと同様、
きちんとしたプランがなければ、完成などありえないものなんです。
 
 

◆感情のまま書くのは、原稿ではなく「見出し」


タイトルに話を戻しますが、
「本を書きたい!」と思った直後、つまり感情が高ぶっている時には、
勢いのまま原稿を書くのではなく、まず見出しを書いておくべきでしょう。
  • 何を伝えたいか、
  • どんなエピソードがあったか
  • 自分のどんな気持ちを書きとどめておきたいか
など、書きたい内容が一目でわかる一文を、箇条書きでいいので
記しておきましょう。
もちろん、自分がわかればそれで十分ですから、
節やリズム感など、キャッチーな効果は無視して構いません。
とくに、書きたいと思うエピソード、データなど数値、印象的なコメント会話など
月日とともに忘れてしまいそうなものは、
あわせて記しておくとベストですね。
 
人というのは、一旦忘れてしまった記憶や感情も、
何かしら、それを引き出すカギがあれば
また思う出すことができる生き物です。
まずは記憶や感情が新鮮なうちに、こうした引き出すカギをいっぱい書いておいて、
あとでじっくり、原稿にしていけば良いのだと思います。
 

―「本にしたい!」と思ったら、まずは見出しを書いておく。

 

人生のイベントや出来事は、いつ遭遇するかわかりませんから、
常日頃から心がけておきたいものですね。
 
―残り7年と36日―