『40歳の壁』を書け上がる!~30代フリー書籍編集者小田の戦術ノート~

ライターの多くがぶつかる『40歳の壁』。ライターから書籍編集者へとシフトしながら壁を駆け(書け)上がる30代の生き様を綴ります。

雑誌原稿を書き慣れてついた『悪いクセ』、そして補正。

最近お仕事しているクライアントの中に、新聞記者の経験がある担当者がいます。

普段なら面倒な書き直しも、この人が言う事が的確なので、
こちらとしては「そうやんな~」と納得して、コチコチ書き直しています。

そんな原稿のやり取りを1カ月ばかりつづけて、自然と身についていた
悪いクセを見つけました。
病気と同じく、悪いクセは早期発見が大切です。

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◆シャープに突かれて、原稿修正。

書き手が言うのも何ですが、大抵のクライアントは
  • まとまった文章になっている
  • 文章を読めば、流れができている事がわかる
  • 前置きおよび結論部分の表現が、ちょっとイイ感じになっている
という形であれば、ほぼOKを出してくれます。
 
クライアントの立場からすれば、そこが難しいから依頼する訳で、
ニュアンスや表現といった細かな部分は、
一旦形になってからじっくりと直せばいいと思われていると、私は理解しています。
 
ところがこの担当者、さすが新聞記者らしく
文章の論点がダブっていたり、ボヤけていたりすると
シャープに突いてきます
また、前置詞や指示語なども、極力省くよう指摘します。

こうした修正指示を受けていると、
業界紙記者として駆け出しの頃を思い出してしまいました。

 

◆違うのは「文章の存在意義」

新聞、雑誌、ビジネス文書、書籍、ウェブページ、SNS・・・
ライターが関わる媒体はいろいろですが、
ここで使われる文章には、それぞれ違いがあります。
その解説は省きますが、違いの一つとして
「存在意義」というものも含まれてくると、私は考えています。
 
新聞に掲載された文章は、「情報を伝達するため」に存在します。
それは他の媒体も同じでしょうが、それだけではありません。
今回比較したい雑誌なら、もう一つ
「デザイン」という点でも、存在意義があるといえます。

読者の目を引くようレイアウトされたページにおいては、
文章も重要なデザインの1要素
縦なのか、横なのか、1行あたりは何文字だと美しいのか・・・
 
これは、文章に含まれる情報量よりも、読みやすさよりも重要視されますから、
取材や情報収集の度合い、また使用する専門用語とその解説の有無によって、
中身の濃さや情報量は、大きく変わってくるんですね。
 
私も雑誌原稿の書き方にずいぶん慣れて、
ある程度膨らませたり、補足情報を付加したりして、
求められる文字数で原稿を書けるようになりました。
これは大事な能力なんですが、
油断すると、悪いクセを助長してしまうもの。
文字数を合わせる事を優先する故に、
情報量が過不足した文章になったり、
論点のシャープさが失われた文章になったりするんです。

このクセに気づかず書き慣れていくと、
書籍やエッセイものなどの長文を書いた時に、
「結局ナニが言いたいの?」という文章を書いてしまう事になります。
 
まあ、このタイミングで、私はいい仕事と出会えました。
(すごい大変ですが)とてもラッキーです。
そして、私のライター人生においてポイントとなるでしょうね。

もうしばらく仕事が継続するんですが、せっかくですから
思いっきり書いて、存分にご指摘をいただこうと考えている次第です。
 
―残り7年と122日―