『40歳の壁』を書け上がる!~30代フリー書籍編集者小田の戦術ノート~

ライターの多くがぶつかる『40歳の壁』。ライターから書籍編集者へとシフトしながら壁を駆け(書け)上がる30代の生き様を綴ります。

PW10:ライターが手を出してはいけない『2つの原稿』

政治や選挙のライティングでは
実にいろいろな文章を発信していきますが、
中にはライターが手を出すべきでない種類の原稿もあります。

これはあくまで私なりの判断ですが、
他のライターさんの参考になれば幸いです。

 

1.各種SNSの投稿原稿

いわゆるFacebookフェイスブックTwitter(ツイッター)ですね。
次の参議院選挙からはネットを活用した選挙運動が
本格的に解禁するということもあって、
きっと多くの候補者さんが、これを機にはじめられる事でしょう。

どんな方でも、最初はこうした投稿も楽しく取り組まれるでしょうが、
やがて人によっては、面倒になったり、
他の事が忙しくて手が回らなかったりする事態に。
とはいえ、大事なコミュニケーション手段を辞める事はできませんから、
ライターに依頼されるというケースもあるはずです。

もちろん世間では、企業経営者や芸能人などが、
「投稿する内容(または下書き)を他者に依頼する」事はあるでしょう。
しかしその場合は、
「依頼主本人または側近の方が確認」投稿
となっているはずです。

いくら忙しい、時間がないと言われても、
投稿一切を任されるような依頼なら、引き受けるべきではありません
忙しい、時間がないといって、
なにより大切な『1対1のコミュニケーションツール』を重要視しない方は
政治家になってからも、1人の声すら聞けないでしょうから。
そんな人になりすまして投稿する仕事をつづければ、
精神的にもキツくなると思います。

また、万一何か起こった(炎上、失言等)時にも、
丸ごと引き受けたライターが背負える責任領域を超えていますから、
せいぜい下書きレベルで携わるのが妥当でしょう。

 

2.演説の原稿

アメリカの大統領選挙では、優秀なスピーチライターの存在が注目されました。
この方がどういった経歴やスキルをお持ちなのかわからないのですが、
私は、日本のごく一般的なライターがスピーチまで手がけるというのは
やや疑問に感じます。
その理由はただひとつ、
「文章ライティングとスピーチライティングはまったく異なる」
からです。

webも紙も、発信する文章については
その内容とともに、表現や見た目の美しさ、
目で追い、読んでいく際のリズム感なども考えながら
文章を形作っていくものです。

しかし、演説やあいさつなどのスピーチ原稿は、
言葉の響きや自分の印象、
奥底にある意思や決意の強さ、感情などを
聴衆へいかに伝えるかを考えて使う言葉を考え、
その言葉と言葉の間、使う順序などを考える必要があります。

そして、こうしたスキルは
アナウンスやナレーションなど発声を伴う職業の経験者にしか
持ち得ないものだと思うのです。
そうした点を踏まえ、自分よりも適任な人材に任せるという判断を
クライアントに伝えるという選択も必要でしょう。

文章ならなんでも書きます!って言うのは簡単ですが、
自分の能力を正しく把握し、自分ができる仕事を引き受け、
あとは他方面のプロから協力を得て取り組む。
そんな仕事の進め方も、プロライターとしての所作でしょう。

■まとめ
やってはいけない原稿は、
SNSの投稿原稿(確認なしの場合)
・演説やあいさつなどのスピーチ原稿
自分ができる仕事をし、必要に応じて他方面のプロから協力を得ることこそ
プロライターの取るべき道。

 

-残り7年と217日-