『40歳の壁』を書け上がる!~30代フリー書籍編集者小田の戦術ノート~

ライターの多くがぶつかる『40歳の壁』。ライターから書籍編集者へとシフトしながら壁を駆け(書け)上がる30代の生き様を綴ります。

取材準備は『2日前』、『1時間』でうまくいく!

Failing to prepare is preparing to fail.
-準備を怠ることは失敗の準備をするようなものである。

これはアメリカのバスケットボール界で著名だった監督の言葉だそうです。
どんなことでも同じですが、準備って大切ですよね。

取材も同様で、
基本的には「その場限り」のものですし、
さらには自分が詳しくない分野の取材や
もう2度と会えないかも知れないような著名人が取材相手の時なんかは
相当気合いを入れて、事前準備に取り組むものです。

とはいえ、なかなか忙しい時期になると
取材準備をする時間さえ確保が難しいことも。
「やらないと!」と思っても、その取材がどんなに大事か分かっていても
なかなか直前まで準備って捗らないものですよね。

私もそうした「追い込み型」の性格ですから、
自分でルールを決めないと実行しない。
なので『2日前』『1時間』というルールをつくっています。

この2日前とは、取材の2日前ということ。
取材準備って前日にやってしまいがちですが、
まれに「予想外なほど準備に手間取る」こと、
「ネット上に情報がなく、図書館へ行かないと調べられない」こともあります。
こういった場合、前日では間に合わないことがあるのです。
また、取材の依頼主や立ち会う方、取材相手と
事前に確認などのやり取りが必要な場合も
2日前なら失礼もなく、きちんとやり取りができる時間も確保できるでしょう。

そしてもう一つ、『1時間』ですが
これは取材準備にかける時間のことです。
これはすべての取材に通じるものではありませんが、
ある程度経験があるライターなら、
「1時間ほど集中して準備を行う」だけで
けっこう満足がいくほどの準備ができると思います。
取材先/相手のウェブ上での情報や関連書籍、
その業界や背景など、いろいろな情報をこの1時間で収集するんですね。
そして時間が余ったなら、
どんな記事を書くかというイメージを先に膨らませておく。
これができれば、「自分が書こうと思う内容」に沿った質問もできると思うんです。

◆「その場限り」という制約は、成長のカギ

少し前、元新聞記者の方とお話をしていた折、
ICレコーダーの使用に関する話題になりました。
その方曰く、
「私たちが記者の時代にはIC(レコーダー)なんて、そんなに使うことはなかった」
と。
思い返してみれば、私もそうでした。
ICを使ったのは年に3、4度くらいでした。

それはなぜか。
理由はただ一つ。音声を起こす時間がないからです。
下手をすれば取材後すぐに帰社し、原稿を書いて制作に回すことになります。
そんなタイトなシーンで、
いちいち音声起こしなんてやっていられないんですね。

人が話していることをメモするには、やはり経験が必要。
しかしその経験が不足していても、必死になってやり続けることで
人間はできるようになる。そう、成長するんですね。
艱難に勝る教育なし。人間は苦労して成長するんです。
「その場限り」という制約は、成長のカギです。
          *

ライターは年に何百もの取材をこなします。
それを漫然とやり続けたなら、本当にもったいない。
これは私の持論ですが、
最善を尽くすとは事前の準備から始まる」と思います。
忙しいなら効率的に行うしかありませんが、
一つ一つの取材を大事にして全力で取り組む先に、確かな成長があるのです。

-残り7年と279日-