『40歳の壁』を書け上がる!~30代フリー書籍編集者小田の戦術ノート~

ライターの多くがぶつかる『40歳の壁』。ライターから書籍編集者へとシフトしながら壁を駆け(書け)上がる30代の生き様を綴ります。

依頼するDTPさんは『読者の年齢層』が基準!?

これもチームで学んだことですが、
DTP作業を仕事とするフリーランス(個人)の方々は
驚くほど、個々人でまったく違う作風のページデザイン
提示してくるものです。

とくに今回のチームで実感したのは
DTPさんご自身の年齢とデザインの関係。
とくに30代40代では、驚くほど雰囲気が違います。

これはいくつかの理由があるでしょう。
使っているillustratorのバージョンも、
最新のCS6から、なかにはCSという方も実際いました。
またその方が教わっていた先輩or先生の、当時の流行も反映されます。
顕著な例でいえば、40~50代の方に多い「グラデーション」
もちろん訴求したい内容や全体のトーンにもよるでしょうが、
20~30代はあまり使わないと思います。

私は「発注する側」から何人かのDTPさんと接してきて思ったのは、
「依頼するDTPさんは年齢で使い分ける」ということ。
タイトル通り、
想定する読者の年齢にあわせて、なるべく同じ世代の方に作業を依頼すると、
うまくいくと思いました。
ただ、60、70代でDTPさんを探すといわれても、それは至難の技。
これは腕の良い40代の方にお願いしたいと思います。

さて、チームで実際にあったことを例にしましょう。
30代後半の方のプロモーションを、
「20~30代」「50~70代」に向けて紙の制作物を作成しました。
20代~30代向けに関しては、いつものように31歳のDTPさんに依頼。
これは私自身も、上々の出来映えに感じました。

一方で、50~70代向けの制作物は、今回40代のDTPさんに依頼しました。
この方には、31歳のDTPさんが制作したものをサンプルで渡し、
さらに今回のチームリーダーがコンセプトを説明。
でも、出来上がってきたものは、まったくトーンが異なる制作物だったのです!
無論、他のメンバーもクライアントも大幅修正を指示しましたが、
ある程度反映された状態で納期を迎えてしまいました。
で、トーンがやや薄まった状態で印刷することに。
それで私は落胆していたのですが、
これを見た60代の方は
いいのができたじゃない」的な感想を真顔で口にしていたのです。
これに私は、驚きました。

発注する側も、読者も、そしてDTPさんも、
ベースとなるのは「自分の眼で見てきたデザイン」でしょう。
だからこそ、上記の例のようなことが起こるのです。
海外で長く生活をしていたり、常に美術品を目にするような環境でなければ
自分の眼で見るデザインも、雑誌やテレビ、ウェブといったもの。
それらが共通していたらシックリくるし、
そうでなければダメという感覚になる。
その共通項とは、世代なのです。

当然ながら、こうした枠にとどまらないような
デザインの技巧をもつDTPさんと仕事ができたなら、
こんなことは考えなくてもいいでしょうが、
ある程度コストに縛りがあるとなると、
個人で対応力があるDTPさんがベターです。
そうした状況を踏まえ、日常的にたくさんのDTPさん
おつきあいができるよう意識しておけば
それは、職業ライターの長所にもなり得ると思いました。

-残り7年と291日-