『40歳の壁』を書け上がる!~30代フリー書籍編集者小田の戦術ノート~

ライターの多くがぶつかる『40歳の壁』。ライターから書籍編集者へとシフトしながら壁を駆け(書け)上がる30代の生き様を綴ります。

収入部分に『固定』を加えるべき、たった1つの理由

「職業ライターが家族を養うのは難しい」といわれる理由の一つに、
月々の収入について、変動性が高いことが挙げられます。
自営業の方は即座にご理解いただけるでしょうが、
ライターの仕事をして、すでに制作した媒体が世に出回っていても
実際に入金される時期まで、少し間があるのです。

「売り上げ」と「入金」の時期が違う。
これが変動をもたらす理由です。

ライターの仕事を「お金の流れ」で見ると、

  1. 仕事の依頼(0)
  2. 取材、資料収集(経費分は立て替えなので-)
  3. 原稿を書く(書いている期間の経費は自己負担なので-)
  4. 納品(0、この時点でスポット案件は売り上げになる)
  5. 入金(+、雑誌なら発行後に売り上げ)

という形です。「売り上げになる」=請求書を作成して提出する
ので、入金は「翌々月の○日」となります。

取材が2週間、作稿に1週間、校正が1週間としても
仕事の依頼から入金までは最短でも3カ月かかってしまう。
この間、当然ながら生活費が日々かかりますし
次の仕事をするための経費だって必要です。
理屈ではわかっているのですが、これがなにより大変。
「お金がないからガンガン仕事をする!」といっても
反映されるまでには相当の時間がかかってしまいます。

さて、タイトルに戻って『固定』の収入に関するお話です。
ライターで固定の収入となると、一般の方からは
「連載で原稿を書く」とか
「月刊誌でレギュラー執筆者になる」というイメージでしょうか。
しかし、これらはそう需要がなく、案件数も少ないです。
ゴースト(執筆代行)は別としても、
連載に携わるほど、専門性や魅力がある職業ライターは希有です。
それならば、とっくにその道の専門家か、作家にでもなっているでしょうし。

ライターの固定として手が届きそうなものは

  • メルマガ執筆
  • SNS執筆代行
  • (企業系なら)ニュースレターや社内報
  • (雑誌系なら)定期モノのフリペや出版社と直接契約で動く

などでしょうか。

こうした固定収入があると、最低限の生活はやっていけますし
それを足がかりにして、長期や大型の案件に携わったり、
自著の執筆にあてたりする余裕が生まれるというもの。
だから、収入部分に「固定」された収入が必要なのです。

多くの先輩を見てきた私が明言できるのは、
自転車操業だけのくり返しでは『40歳の壁』を越えられないということ。
仕事をやり続ける事に1でも2でもプラスがなければ
職業ライターをライフワークにすること自体が難しい。
2012年を振り返るのは若干まだ早いでしょうが、
それらを実感することが多かった年だったなと思い、綴りました。

-残り7年と292日-