『40歳の壁』を書け上がる!~30代フリー書籍編集者小田の戦術ノート~

ライターの多くがぶつかる『40歳の壁』。ライターから書籍編集者へとシフトしながら壁を駆け(書け)上がる30代の生き様を綴ります。

ライターだけが『ダメ出しされる』のはクライアントの心理的要因

長いタイトルですいません。

まず例を挙げさせていただきます。
チームで1つのPR用チラシを作るとしましょう。
順序はさまざまでしょうが、誰かがラフを描き、
デザイナーorDTPのオペレーターさんillustratorでデータをつくります。
その間、カメラマンが画像を撮影したり、
ライターがテキスト部分を書いたりしていきます。
そして、最後に全データを貼り付けて、完成です。

出来上がったチラシは、リーダーがチェックをした上で
クライアントへの確認となります。
当然ながら、確認に伴っていろいろな修正指示が飛んでくる訳ですが、
私の経験上、この修正が多いのは「テキスト」です。

なぜライターだけがダメ出しをされるのか。
最初は偶然だろうとか、被害妄想かなと思っていました。
でも、これまで属した3チームとも
テキスト部分にはガッチリと朱が入りました。
これは自分が非力なだけなのか。悶々とした時期もあったんですね。

それでも仕事をつづけてきてわかったのは、
クライアントの心中にある
「私の日本語は正しい」という考え。
これが要因になっているのではと思うようになりました。

先の例で考えると、チラシの構成要素は
デザイン文章画像に大別できます。
まず画像に関しては、やっぱりプロとアマの差が出ます。
画角や背景とのバランスが歴然と違いますよね。
そしてデザイン。
私はいままでたくさんのクライアントと接してきましたが
自分のデザイン感覚を信じて疑わない人って
ほんの数人しか出会っていません。
きっと、多くの人はデザイン感覚、センスに自信はもっていないのでしょう。
もちろん私もそうです。
だから、「これが最近の流行です」とか
「こうした方が、キャッチが引き立ちます」とか説明が入れば
そんなもんだろうと納得してしまいます。

さて、文章はどうでしょうか。
どんなクライアントだって、毎日のように文章を自分で考え、
日常的に使っています。
そして、ライターが書く文章というのも
クライアントとほぼ同じような語句を使います。
ですから、画像のような特別感がありません
また、「少々文章に長けているクライアント」も結構いますから
クライアント自身の文調やテイストにあわなければ
これは違う!って、すぐに朱を入れられてしまうんですね。

◆いまだにある「作家」のバリュー
これはチームでの仕事ではありませんが、
吐き捨てるように「所詮はライター」と言われたことが
何度かありました。
新聞記者や作家といった物書き、
またおおむね60代を超えた、会社経営や社会的地位の高い方は
「職業に貴賎なし」という言葉を知りながら、
どうもライターという職業を認めていないようです。

対して書籍を出版しているような「作家」先生には
コロッと態度を変える
なぜ、こんなことを書くかというと、私はリアルに体験したからです。
私の原稿を見る前からクレームを出していたクライアントが
私のキャリアと現在の仕事(いまは書籍もやってますから~)を話した途端、
原稿に一切朱を入れなくなったんですから。まあ驚きました。
     *

ライターって、こんな感じで傷つくことが多々あります。
でも、みんな経験してますから。どうか自信をもって。
あなたの書いた原稿は、必ず社会に残るもの。
そして、誰かの役に立っているんです。
もちろん反省と自己鍛錬は必要ですが、
他の誰かに自信を喪失させられてしまえば、それは時間のロスですから。
がんばりましょう!

-残り7年と298日-