『40歳の壁』を書け上がる!~30代フリー書籍編集者小田の戦術ノート~

ライターの多くがぶつかる『40歳の壁』。ライターから書籍編集者へとシフトしながら壁を駆け(書け)上がる30代の生き様を綴ります。

『一発逆転』より幸せな人生

私の父は今年で73歳になります。
小さい頃の病気で足が不自由ながら、
大型トラックの整備では40年超のキャリアがあり、
私と同世代の整備士とも対等にわたりあえるくらいの
腕前があると思っています。

そんな父も、自営ゆえ不景気には勝てません。
年齢を考えると、ゆっくりしても世間は許すのでしょうが
必死で仕事を探して、今なお働いています。



そんな父と昨日、久々に電話で話しました。
時間にして、ほんの数分。
最後に「ここらで一発逆転して、みんなを幸せにしたい」
そう語ってくれました。

一発逆転。いい響きですね。
自営業なら、誰もが考えることでしょう。
私も苦しい時期がつづいたので、一発逆転を信じて生きてきました。

でも、最近つくづく思うのは、
「一発逆転」できる確率って、ほとんどない。
ということです。
奇跡的に起こるから夢があるんですよ。きっと。
それを信じて進む事は良しとしても、
それを担保にして、今の自分や家族を犠牲にしてはダメです。

私が父に話したのは、
「今ある現実に感謝する」ということ。
確かにお金もないし、仕事もうまくつづかない。
その一面だけを見れば相当不幸です。

でも、あなたには笑顔で抱きついてくれる孫が
2人もいるんですよ。
また大人になった息子、娘とも「仲良し」とはいいませんが、
あなたの小言を聞くくらいの度量はもっています。
そしてなにより、私たちを育ててくれたと
感謝され、健康と長寿を毎日祈られているんです。

そこまで詳しく話しませんでしたが、
泣きながら電話を切ったところを見ると、
父も気がついたのかも知れません。



ライターで言う一発逆転って、なんでしょうか。
・有名な作家になって、派手に暮らすこと?
 =いやいや、作家さんって本当に大変だと思いますよ。
  派手な生活なんてしていられないくらい、原稿を書く準備に追われています。
・楽な仕事だけを受けて、ゆっくり自分の時間を確保する?
 =そんな人もたまにいますが、それができるまで苦労を重ねてきたはず。
私は、物を書きはじめてもうすぐ10年になりますが、
ようやく最近になって、こうしたことがわかりました。

私も父と同じく、現実は相当な幸せ者であり、
いい人生を送っていると胸を張っていえます。
まあ、欲張りなので背伸びをしたいこともありますが。

現実を受け止めること、
そして、いま目の前にある仕事に全力で臨む。
このくり返しで、きっと人間は成長する。
そして、くり返す日々自体が、幸せな人生だと思うのです。

今日はちょっと情緒的な記事ですが、
こうした事を、自分で書いて定期的に確認することも
『40歳の壁』を超える大事な所作なんですよ。

―残り7年と318日―