『40歳の壁』を書け上がる!~30代フリー書籍編集者小田の戦術ノート~

ライターの多くがぶつかる『40歳の壁』。ライターから書籍編集者へとシフトしながら壁を駆け(書け)上がる30代の生き様を綴ります。

収録現場にライターが立ち会うたった1つの理由

「こちらは、リサイクルの△△商店です~」
「たけや~さおだけ~」
「選挙では○○、○○をよろしくお願いします~」

平日ずっと会社で働いている方はご存じないかも知れませんが、
お昼間の住宅街って、いろんな声が流れています。
こうした音声テープにも、必ず原稿があり、それを書く人がいる
そう、こうした原稿も私が書いたりしているわけです。

音声やDVDのナレーション原稿をいくつか書いてきた
私が気づいたこと。
それは、『収録現場に立ち会う』という必要性。
他の原稿であれば、たいてい納品すると仕事は完了しますが、
こういった「ナレーション原稿」は事情がちがうんですね。

なぜ「気づいた」という書き方をするかというと、
基本的に納品した先、つまり発注者は
『ライターは収録まで立ち会わなくていい』と思っているんです。
また、ライターも現場を知らないままでいるから、
立ち会うことを必要と考えるきっかけがないんですね。

先日、ある音声収録があって
収録と編集作業を請け負う知人が電話をくれました。
「今日の収録来る?どうする?」。
基本的に忙しいことが多いので、こういう場合は立ち会わないのですが、
なんとなく心配で、その日は収録現場に行きました。
すると・・・
まあ、変更の多いこと。ほぼ全文に修正が入るではありませんか!

なぜ?って、思うでしょう。原稿は問題ないはずなのに。
けっして私が未熟過ぎるとか、そういう問題ではありませんよ。

それは、ナレーターにはナレーターなりの
「聞き取りやすさ」や「感情の伝わりやすさ」、「わかりやすさ」など
使うべきフレーズ、またそうでないフレーズがあるということ。
また、そうしたフレーズを意識したとしても、
言葉の組み合わせでわかりにくかったり誤解が起きやすかったりする。
ナレーターも「実際に声を出してみて、最後までよんで、もう一度聞き返す」
までは、どんなにライターが注意しても修正作業は発生するんです。

そんな時、ライターがいなかったらどうなるか。
きっと、その場にいる発注者や責任者が、
上手に言葉をつないでくれるんでしょう。
でも、そうした文章をライターがみると、やっぱりヘンなんです。
これが、タイトルにある理由です。

発注者が良しとするなら。納品したから。
それで良ければ別にいいんですが、
なんとなく気になる案件、しっかりやり遂げたいと思う案件なら
立ち会うことをおすすめします。
これはライターのキャリアに関わらず気づかないことなので、書いておきます。

ー残り7年と333日ー