『40歳の壁』を書け上がる!~30代フリー書籍編集者小田の戦術ノート~

ライターの多くがぶつかる『40歳の壁』。ライターから書籍編集者へとシフトしながら壁を駆け(書け)上がる30代の生き様を綴ります。

補足2:人は「3つの悩み」から転職を決める

補足1:大阪で活動する30代ライターの実態のつづきですが、
『40歳の壁』という通り、
ライターは40歳前後で今後の人生を考えることが多いのです。
(私はまだ30代ですが想像がつきます)

人は、どんな時に「転職しよう」と思うのでしょうか?
私は、「3つの悩み」のいずれかが転職の理由になると考えます。
それは、

1.人間関係の悩み
2.仕事自体の悩み
3.収入の悩み
です。

ライターの場合、「1.人間関係の悩み」は皆無に等しいでしょう。
それは、仕事の多くがスポット的に発生するため、
長期にわたって関わる人が少ないのです。
むしろ「人間関係すらできない」と悩む方が多いと思います。

問題は、2と3です。
補足1の記事で、
   =20~30代のライターさんは大半が雑誌・MOOKの仕事をしています。
と書きました。

雑誌やMOOKの仕事というのは、
出版社の編集部→編プロの編集さん→ライターと
順に仕事が委託されていきます。
数百ページの誌面をつくるためには、現場を走るライターを
ある程度の人数で動かすか、
1人あたりの件数を増やさなければなりません。
でも、あまり人数が多いと管理も大変。
ですから、後者のように「1人のライターが膨大な件数を取材する」ことになります。

これには相当の体力フットワークが必要です。
いくら元気だといっても、グルメや旅雑誌の取材を40代で受けるには
かなりムリがあります。
それは編集もわかっているので、歳を重ねるごとに
だんだんとキツい仕事を振られることはなくなっていきます。
これが、2の悩みです。
20、30代にとっては生活の糧となる、ありがたいお仕事ですが
40代以降は別の仕事に変えざるを得ない事情がここにあります。

また、どんな業種でもそうですが、
仕事が委託される分だけ中間コストが差し引かれるため、
下位にいくほど単価は安くなるのが自然です。

雑誌やMOOKは誌面デザインやカメラマンへのコストもかかりますし、
近年は広告もそう期待できないので、制作費も抑えめ
ライターにコストをかけたくても、かけられない状況があります。

これも補足1で書きましたが、

   ・カツカツに予定を埋めて働いても、雑誌メインのライターで平均的な月収は大学初任給と同程度です。

ですから、家族や自分の親を養う責任が発生する歳になれば、
3の悩みから仕事を変えざるを得ない。

これらが『40歳の壁』です。